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患者参加型のホスピタルアート・プロジェクトに注目

患者参加型のホスピタルアート・プロジェクトに注目

「病院を無機的で冷たい場所から、彩り豊かな空間へ」

医療現場にアートを取り入れる、そんな「ホスピタルアート」の取り組みが国内外でさかんに紹介されるようになってきました。
以前ご紹介したロンドンに拠点を置くアート集団「Vital Arts」の活動などが世界的に有名ですが、昨今では単に院内にアート作品を取り入れるだけではなく、患者さん自らも参加するワークショップ型の活動が注目されています。

活動意欲の向上や、心の高揚感。ただ鑑賞するだけでなく、アート制作に参加することが患者さんにもたらすメリットは容易に想像できます。

以前の記事でレポートしたロンドンの王立こども病院におけるVital Artsのプロジェクト。院内のスペースごとに展開する個性豊かなアートの数々に魅了されましたが、
その中には患者の子供たちが制作に参加したアートも展示されています。

子ども患者たちも作品づくりに参加

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アーティストのDonna Wilsonさんの作品では、制作現場に子供たちも参加。頻繁に通院する子供たちにとって、来院するごとに自分が手掛けた作品に出会える環境は、病院により親しみやすいイメージを持ってもらう一助になることは間違いありません。

また、メディアアートの分野では、患者さんがインタラクティブに参加することを視野に置いたアートも提案されています。

スクリーンと子供

巨大モニターの前、スクリーンに展開される映像に自分自身が投影され、ゲーム感覚でアートの世界に入り込むことができる作品。
デジタルサイネージ・コンテンツ制作の技術力が高い日本において、このジャンルでの医療現場での活用は大いに期待できるのではないでしょうか。

ダンスなどエクササイズの分野にもアーティストが協力

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医療現場へのアーティストの参加は、展示分野だけにはとどまりません。
ワークショック型として注目されているVital Artsの活動には、患者さんを対象とした、よりアクティブなプランも試みられています。

上の写真は、患者さんを対象としたダンスプログラム
ダンサーが理学療法士や作業療法士などと協力して開発されたプログラムは、楽しく身体を動かしながら基礎体力の向上やリハビリなどを目的とされたもの。
グループでのワークショップをはじめ、ベッドサイドで1対1で行われるものなど、きめ細かく設計されています。
患者さん本人はもちろん、家族からも「こんなに明るく笑って過ごせた時間は久しぶり」などの感謝の声が寄せられているそう。

日本でも進む、参加型ホスピタルアート

こういったホスピルアートは北欧や
ロンドンなどが先進的でしたが、昨今は日本の医療現場にも徐々に気運が高まっているようなのは嬉しい傾向です。

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こちらは、日本のNPO法人「アーツプロジェクト」によって実施されたワークショップ型プロジェクト。
宝塚市の特別養護老人ホームに飾られたフェルト作家による作品は、入所者の方もフェルトの花を作成することで作業に参加しています。

アーツプロジェクトはアートの力により医療環境をより快適な癒しの空間にすることを目的にして設立されたNPO法人。絵画や造形などの視覚芸術から音楽やダンスなどの領域までの芸術活動を医療施設に導入し、患者さんの精神的・身体的なリフレッシュのための活動を続けています。

単に院内を「飾る」だけではなく、より積極的に患者さんと医療機関の環境に新風を吹き込むホスピタルアートの潮流。
医療者としても、今後もチェックしていくべきジャンルといえるのではないでしょうか。

Medicatessen 編集ディレクター / ライター

Sanae

食べ歩きとアウトドアを愛する編集者。

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