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障害者と家族のために。ユーザー目線で生まれた「キャロラインのカート」

障害者と家族のために。ユーザー目線で生まれた「キャロラインのカート」

障害を持つ人とその家族にとって、何気ない日々の暮らしのなかでの不自由さをひとつひとつクリアしていくことの高い障壁ははかりしれません。

たとえば、日々あたり前に行う「買い物」という行為。
これも障害者の家族にとっては、車椅子とショッピングカートを同時にひっぱることは、それこそ至難の業です。これは、使用者視点でないとなかなか気がつかないことのひとつ。

足が不自由な娘のキャロラインちゃんのために、行動的なお母さん、ドリュー・アン・ロングさんが娘と快適にショッピングするために開発したショッピングカート。
「キャロラインズのカート」をご紹介します。

愛する娘のために誕生した「キャロラインのカート」

車椅子が必要な娘、キャロラインと、どうにかして楽しく買い物ができる方法を模索していたドリューさんが思いついたのは、
「身体が不自由な人でも乗れる、ショッピングカート型の車椅子」。
ユーザーならではの視点が満載です。たとえばこんな工夫の数々が施されています。

  • しっかりした5点式のハーネス
  • 安定性を重視した6つの車輪
  • 人を乗せやすいよう、ハンドルが左右に開く構造
  • 最大110キログラムまで搭乗可能
  • 無理な体勢にならないよう計算された背もたれの角度
  • カゴの左右には、バッグをかけられるフック
 

座面の面積が広いので、大人にも対応!子供が乗る場合は5点式のハーネスが安定感をキープしてくれます。

ドリューさんは、このカートを同じ悩みをかかえる多くの人に使ってもらいたいと、「キャロラインズカート社」を設立。特許を取り、販売に踏み切りました。

 

個人で買えばいいというものではなく、難しさはショッピング施設に導入してもらえないと普及できないということ。
地道な努力の結果、大手スーパーマーケットでの導入が決定したのは発売開始から8年も経った時期だったそうです。

じわじわと評判を呼び、今では、ドイツ、イギリス、スペイン、ロシア、オーストラリアといった海外からの注文も得ているよう。
SNSでは、家族で一緒にショッピングを楽しめるようになったことへの喜びの報告があふれています。

 

バリアフリー社会は、ユーザーによりそう小さな革新の積み重ねで実現

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勇気と行動力のある母によって誕生した、障害者のためのプロダクト。
一方、たいへんな資金や労力が必要であることを鑑みると、行政やメーカー、医療機関などのプロによる、よりユーザー視点にそったサポートが求められることを感じます。

2020年のパラリンピック開催などを契機に、こういった試みと研究開発がより活発に検討される社会が到来することを、願ってやみません。

Medicatessen 編集ディレクター / ライター

Sanae

食べ歩きとアウトドアを愛する編集者。

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