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「高齢者が街歩きを楽しむために」誕生。スタイリッシュ歩行器

「高齢者が街歩きを楽しむために」誕生。スタイリッシュ歩行器

来たるべき高齢化社会を背景に、グッドデザイン賞の分野でも、昨今は医療や介護関係のプロダクトの受賞が目立ちます。
ただ機能を満たしているだけでいいという時代は終わり、患者さんや介護対象者、家族や医療者すべてにとって便利で心地よく使用できるプロダクトが、より求められてきているということでしょう。

今回は、2014年に受賞した歩行支援機器、「まちなかウォーカー」に注目してみました。

「高齢者もどんどん街に飛び出して」をテーマに

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「まちなかウォーカー」は体力や足腰の機能低下により家の中にこもりがちな高齢者の歩行能力を上げ、健康を維持・回復することを目的として開発された歩行支援機器。

RISTEX(科学技術振興機構)が推進する地域の高齢社会の課題解決施策を背景に、富山大学の研究開発プロジェクト「社会資本の活性化を先導する歩行圏コミュニティづくり」により地元企業と共同開発されたものです。

3本のアルミフレームによるシンプルな作りながら、直径198㎜の大車輪により、ちょっとした段差にも楽に対応できるような機能になっています。
さらにアーム部の長さが調整でき、どんな体格の使用者にも正しい歩行姿勢がキープできる設計。
また、あえて折りたたみ機能を排除したことで、車体のガタツキ等がなくなりより安定した歩行を実現したことも、正しい優先順位を追及した結果であると推察されます。

さらにこのプロダクトの特筆すべき点として、使い勝手はもちろん、使用者の生活スタイルをより豊かに充実させる工夫がなされていること。

  • 自転車と同じ使い方ができるハンドル&ブレーキ機能。パーキングブレーキ(ストッパー)もワンタッチで操作可能。
  • クッションの効いた座面も備えており、ちょこっと座って他の人とおしゃべりしたり休憩するときにも便利。
  • 前面と座面下に2つの荷物入れがあり、買い物用と手荷物用など、使い分けが可能。
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水平スタッキングでコンパクトに収納が可能。スペースの有効利用とともに、景観をそこなわない公共性の高いデザインが心がけられています。

使う人の幸せ感を、より訴求していく必要性

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社会実験のエピソードによると、ある高齢者は歩行器について「使えば楽だとわかっているけどカッコ悪くて使えない」という声を寄せたそうです。
豊かな時代を生き、モノへの審美眼もそなわった世代が高齢化してきたときに、こういった「使う人が楽しく、気持ちよく使えるデザイン」という視点は、ますます重要になっていくことは間違いありません。

また、今回の「まちなかウォーカー」のように、医療や介護業界、社会科学、行政、そして使用者の声を複眼的な視点で取り込んでいくことの重要性も高まっていくことでしょう。
各ジャンルでの取り組みに、さらに期待していきたいと思います。

 

Medicatessen 編集ディレクター / ライター

Sanae

食べ歩きとアウトドアを愛する編集者。

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