- あったら幸せになる「医・衣・食・住」を届けるメディア -

針を刺さない採血システムが、患者と医療機関双方の負担を減らす

針を刺さない採血システムが、患者と医療機関双方の負担を減らす

予防診療や治療のための検査で欠かせない採血ですが、世に「注射嫌い」は多いもの。
小児科の患者さんだけでなく、大人でも注射が嫌いなために医療機関から足が遠のくという、そんな声も珍しくありません。

そういった課題は万国共通らしく、アメリカでは画期的な採血システムの研究がなされています。それは、「注射針を刺すことなく採血ができる器具」

順調にいけば2016年中には販売が開始されるというこのデバイス、すでに注目されている医療者の方もいらっしゃるかと思いますが、あらためていったいどんなものなのか、ご紹介します。

「HemoLink」は、毛細管現象を利用した画期的な血液採取デバイス

image1

写真上、上腕に張り付いているようなピンポン玉サイズのデバイス、これが「HemoLink」という血液採取器です。ウィスコンシン大学マディソン校系列のTassoというスタートアップ企業が開発しました。

しくみは、皮膚にあてた部分が真空状態になり、毛細管現象を利用し、細い毛細血管から血液を吸い出していくというもの。

image2

患者さんにとっては無痛でありながら、2分ぐらいの装着で15mlの血液を得ることができますので、一般的な感染症やがん細胞の検査、また血糖値やコレステロール値などの検査には十分に対応できます。

患者さんが自宅でセルフ採血できる

image3image4

Via:Tasso

さらにこのシステムが画期的なのは、無痛なだけではなく、患者さん自らで簡単に採血ができること。もちろん自宅でも使えますし、医療者がいないどのような環境でも、採血が可能になるということです。

image5

開発企業であるTassoは、DARPA(米国防高等研究計画局)より300万ドルの助成金を受けることが決定しました。
この助成金を、Tassoは血液サンプルを1週間保存できる保存料の開発にあてることを発表しています。これは、どのような意味を持つのでしょう。

つまり、患者さんや検査対象者が自宅で採血し、それを急いで医療機関に届ける必要がなくなります。通常の期間で郵送をすれば十分な保存状態を得るということです。

これにより、採血のために医療機関を訪れ、さらにその結果を聞きに再訪するという二度手間の必要がなくなります。患者さんにとっても、医療機関にとっても、手間や時間の節約になり、ひいてはお互いにより本質的な部分に時間を使えるということになるのではないでしょうか。

在宅医療などへの有効利用に期待

image6

我が国においては高齢化に伴い、在宅医療の環境整備が急務となっています。

そういった状況の中、こういった自宅でできる検査システムが実現すれば、患者さんや医療機関だけでなく、介護者にとっても負担軽減につながることは間違いありません。また、定期的に検査が必要な子供の患者などの保護者にとっても、同じです。

手のひらに乗るような小さなこのデバイスに、医療や介護の周辺のすべての人々を幸せにする、そんな可能性を大いに感じ、期待が膨らみます。

Medicatessen 編集ディレクター / ライター

Sanae

食べ歩きとアウトドアを愛する編集者。

このライターの記事一覧