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心地よい光と風に包まれたルワンダ・ブタロ病院の建築美

心地よい光と風に包まれたルワンダ・ブタロ病院の建築美

アフリカ中部に位置するルワンダ。平均標高が1500mと高く、丘陵地が多いことから「千の丘の国」と呼ばれています。人口はおよそ1210万人。天然資源は乏しく、1994年の虐殺の影響も残るこの国の医療事情は、決して恵まれているとはいえません。

そんなルワンダのブレラ地区に建てられたブタロ病院は、同規模の病院の3分の2の建築費にもかかわらず、光や風を効果的に取り入れた美しい病院です。

 

地元の人々の手で建築された丘の上の病院

ブタロ病院の設計を行ったのは、世界的に医療・衛生保健の支援プロジェクトを行っているパートナーズ・イン・ヘルスと、ハーバード・メディカル・スクールの感染症の専門家たち。この病院の大きな特徴は、周辺の人々の力で建築できるよう設計されている点。建築現場では地元の人たちが丘を切り開き、プロジェクトメンバーと共に病院を作り上げました。

重機もほとんど用いられず、人力の作業で作り上げられたこの病院。とてもそうは見えない、優れたデザインのポイント4つをご紹介します。

 

1. 自然の力で新鮮な風の通り道を作る

丘の上に、はめ込むように建てられているブタロ病院。病室は上層部に建てられ、高低差のある窓から風が通り抜けるよう設計されています。病室内のシンプルな銀色のシーリングファンが、効果的に風を送ります。

自然の風を利用して、常に新鮮な空気を室内に取り込むことができるので、換気口などの複雑なパーツを使わずに、空気感染のリスクを抑えることができます。

 

2. 窓の外を眺められるベッドの配置

 

こちらは小児病棟の外観。室内は黄色い間仕切りが鮮やかで、とても明るい気分になります。ベッドは窓の外を眺められるよう、外向きに並ぶレイアウトになっています。

廊下から見た小児病棟。病室内の患者や医師がよく見えます。室内から廊下を歩いてきた家族に手を振ることも出来ますね。

 

3. 身近な素材に囲まれた、安らぎの空間

ブタロ病院には、病室以外にも患者や家族がくつろいで過ごすことができる空間が至る所にあります。壁に使われているのは、地元・ヴィルンガ山脈の溶岩石です。

身近な素材を使った開放感溢れるスペースは、利用者も、医療者にも落ち着いたリラックスできる空間となっています。

シンプルな直線が切り取る青空。白い壁が清潔な印象ですね。地元の素材を使えば、増築や修復も簡単ですし、地元経済に貢献できるというメリットがあります。

 

4. 緑を取り入れた敷地内デザイン

 

丘の上に建てられたブタロ病院。通路部分はレンガで舗装しつつ、院内にも木立や芝生を残し、潤いの感じられる空間になっています。

芝生を囲んで並ぶ病棟。夕暮れ時は廊下の照明が赤い煉瓦の廊下を照らし出し、ぬくもりのある表情を見せます。

 

美しい建物がもたらす健康と未来


ルワンダでは健康保険への加入拡大が政策として進められ、他のアフリカ各国に比べ高い加入率を誇っています。その一方で、物々交換で生活している人々にとっては、現金を手にすることが難しく、保険料を納付できないという現実もあります。

そんなルワンダにおいて、病院に行くということはひとつのステータス。病院が憧れの場所となることで、人々の健康意識が高まり、より充実した医療政策が期待されるのではないでしょうか。ブタロ病院は、完成後も医療者向けの住居部が増築されるなど、進化し続けています。

地域の特徴を生かしてデザインされた病院が、安心して暮らせる社会の中核となるといいですね。

Medicatessen ライター

mochida

セレモニースタッフ兼ライター。休日は湾岸エリアでジョギング

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